仕事への向き合い方
あらゆる仕事において、失敗が必ず起こらないとは限りません。ですが、それを免罪符とすることはあってはならないことです。
今回は一人の工場作業員として、この仕事を行うにあたっての考え方をご紹介したいと思います。
この考え方は必ずしも正しいとも、間違っているとも言い切ることはできませんが、あくまで「一つの考え方」として認識していただければと思います。
この仕事においてミスというものは取り返しやカバーができること自体が稀であり、基本的に作り直し、やり直しになります。工程数が多い品物ですと、それまでの時間を取り戻すことは至難の業であり、はっきり言えば現実的ではありません。
なので、この仕事においてまず重要なのは、ミスの処理ではなく、「ミスの阻止、防止」にあると考えております。
極端な例になりますが、ある初歩的なミスにより、一日分の損失が発生したとします。もしそれが、事前に五分以下の時間をかけて確認をし、ミスを防止できたとしたらどうでしょう。
五分という時間は決して短いわけではありませんが、その時間をかけることにより、一日分の損失を防止できるのであれば、決して無駄なことではありません。
「五分もかける」というより「たった五分」という考え方に変わります。それにより損失を防止できるのであれば、利益にもつながります。
もう一例を挙げてみましょう。
初心者の方が初めて行う加工において、ミスが発生したとします。もちろん損失につながりますが、それを経験値として、次回から同じ失敗は防止できるでしょう。
しかしこれは、本来なら防止できるはずです。というのも、そのミスは先人の方々が先に経験しているはずだからです。
オットーフォンビスマルクという方の有名な言葉に「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というものがあります。
経験から学ぶことも大切ではありますが、その積み重ねである歴史から学ばないことは、非常にもったいないことであると私は考えています。
過去に一例があった場合などは、その歴史から、何をどうしたら良いのかを学ぶことにより、先述のミスを未然に防ぐことができるはずです。
また、考え方の根幹に「マーフィの法則」というものがあります。
端的に言えば、「失敗する余地があるものは、失敗する」という、ユーモアのある法則です。洗車した後には雨が降る、なんてことも、この法則の一例です。勿論それはあり得ないことなのですが。
ただ、事前に「なにか違和感がある」、「このやり方だと失敗しそう」といった状況になった場合は、なにが違和感なのか、なぜ失敗しそうなのか。その可能性、失敗する余地を徹底的に潰すことにより、ミスの防止につなげています。
弊社では、今までの経験を積み重ねた歴史をまとめ、それらを生かしながら一つ一つの仕事に対し、真剣に向き合っています。
先述した、ビスマルク氏の言葉やマーフィの法則などは、ミスの防止だけではなく、より良い仕事をこなす為にも重要なことであると考えています。
最後になりますが、事故が起きてからではなく、そもそも起こらないようにする。その考え方を突き詰めていくことが、この仕事において必要なことであると、認識しております。